
OSSと聞くと、いつも「オイスターソース」という単語が頭を過りますが、
もちろん、Open Source Software の事です。
世の中のインターネットの普及で、急激に進化していったOSSの成功事例がたくさん掲載されていると思われる書籍ですが、
「進化論」っていうことは、OSSって何か進化しているものなの?
そんな興味本位から手に取った本です。
レビュー
★★★★☆
もう少し論文っぽく、面白くないような書き方がされていると想像していたんですが、
比較的、出来事を筆者の言葉でわかりやすく書かれていて、読みやすかったです。
「OSSは、無料ではない」というのは、エンジニアであれば、誰でも理解していると思いますが、
まだまだ世の中では、無料ソフトのことをOSSと言うと勘違いしている人も多いようですね。
2000年よりも前の時代は、「安かろう、悪かろう」の、⚪︎華製品のような印象のあったOSSですが、
色々な成功事例を見聞きすると、姿勢を正してOSSに向き合うべきだと考え直した人も多いのではないでしょうか?
そんなOSSの歴史、どういう進化を遂げてきたのか、今後どういう進化をしてくのかという予測など、
この書籍を通して、企業の在り方、コラボレーションやフォークといった、ソフトウェアの進化の仕方。
マーケティングとしての、他業種の協業など・・・
時代と共にOSSがあるということを改めて認識できる書籍でした。
APIやアプリなど、すべてに関わってくるし、エンジニアとしては避けて通れば胃知識と言ってもいいかもですね。
この書籍から学べるポイント
OSSとは
その名の通り、オープンソースのソフトウェアは、
必要に応じて、手を加えることができるのが利点の一つです。
Linuxをはじめとする、OS、
Webサーバー、
RDBMS(いわゆるデータベース)
OSSと言えば、こういうシステムをイメージする人もいるかと思いますが、
今ではOSS活動は世界中で盛んに行われています。
ソース改良の敷居が低く、有償サポートも得やすいという特徴もあるようです。
システムベンダーにゼロから開発を依頼するよりは、OSSを使って安価に開発してその後の運用なども安定的に行うと言うのが、OSS利用の在り方なんですね。
Linuxと米SCOグループのOSS論争
アメリカのSCO Groupが、「自分達が権利を持っているコードがLinuxで不正に流用されている」という主張をしたことから、論争が続いていて、2010年にSCOの主張が却下されたという出来事がありました。
有名なLinux論争ですが、この結論からLinuxに軍配が上がった事実でWebでのLinuxの地位が確立したと考えてもいいかもしれませんね。
ようするに、LinuxはUnixの不正コピーと思われていたこれまでの認識を一気に払拭することができたので、OSSにとってかなりの追い風だったことがわかります。
NetscapeからのFirefox
2000年ぐらいにインターネットをしていたユーザーであれば、Netscapeというブラウザやメーラを使っていた人は少なくないでしょう。
そして、今でもFirefoxをメインブラウザとして使っているユーザーも多いと思いますが、NetscapeとFirefoxが実は繋がっていたという歴史を知ると、
なんだかより愛着が湧いてくる感じがしますね。(自分はFirefoxは今はほぼ使ってないですが・・・)
Netscapeが、MicrosoftのInternetExplorerとのブラウザ戦争と言われる当時バチバチにやりあっていた戦いで負けたというのは、有名な話です。
その後、OSSとしてのMozillaを立ち上げてからのFirefoxという流れでした。
ちなみに、InternetExplorerは、何故ブラウザ戦争に勝ったのかと言うと、
OS(windows)にデフォルト搭載されていて、OSと密接に繋がっているブラウザだったので、多くの人が何の違和感もなく使うことができたから・・・
と世の中では言われていますが、実はそれ以外にも、Microsoftの開発スピードに負けたとも言われているようです。
黎明期のインターネットブラウザは、Netscapeの方が高機能で、精度が良かったのですが、その後IEの機能追加やCSSへの適応などのスピードが圧倒的に(おそらく企業パワー)早く、
ユーザーがそちらに靡くのもわからなくはないですが、
開発エンジニアがIEの仕様にうんざりしていたのは、言わずもがなです・・・www。
その後、GoogleChromeがOSSとしてChromiumを打ち出して、IEはコテンパンに打ちのめされてしまうんですね。
OS同梱よりも、高機能マルチデバイス対応のChromeに軍配が上がって現在に至る状態です。(2026年現在)
日本のソフトウェアにOSSがもたらすもの
日本で一番有名なOSS活動は、おそらく、まつもとゆきひろさんが作ったRubyでしょう。
最近では、サブスクリプションを利用して、OSSでも、マネタイズができると認知されて、
OSS活動をするフリーランスからベンチャー企業が増えてきているようです。
アメリカのシリコンバレー特有のビジネス形態と思われていたこうしたOSS活用は、
日本でもビジネス活用の活性剤になっているようですね。
オープンソースERP
会社で扱う、さまざまな管理を基幹システムというERPシステムで業務効率化、ミスの軽減を行うという流れは、どの会社でも思考していると思いますが、
その会社特有のERPを作ろうと思ったら、膨大な金額が掛かってしまいます。
ERPとして、さまざまなソフトウェアが販売されていますが、その高額さに目が飛び出たことがある人もいるかもしれませんが、
OSSとしてのERPパッケージがいくつか公開されています。
以下は、有名なOSSのERPです。
・JavaベースのオープンソースERP「Conpiere」
・NexediのERP5
・Ajax系のTiny ERP
・Apache系のopentapsや、Neogia、Fisterra
OSSのおもしろさはコミュニティにある
日本は、世界的にも、OSSのコミュニティが盛んな国なのだそうです。
ボランティア的にOSSをサポートしているエンジニアから、
通常のサラリーマンの何倍もの収益をあげているエンジニアも存在します。
OSSのコミュニティに参加すると、
これまで出会ったことのない優秀なエンジニアと知り合ったり、
知らない技術スキルを得られたり、
エンジニアにとっては、将来に役立つことばかりの経験ができます。
これは、企業でサラリーマンエンジニアをやっている人では得られない技術知識なので、優秀なエンジニアというのは、こうした活動を通して優秀になりあがっていくということがわかります。
あとがき
この書籍を執筆した、高橋信頼さんは、日経BPの記者をしていた方だそうで。
個人的には存じ上げなかったのですが、Amazonのレビューなどをみていると、このかたもう亡くなっているようですね。
OSSをずっと追いかけるという、あまり類を見ない活動をされていたこの人に興味が湧いていたんですが、非常に残念です。
でも、こうした書籍を残してくれているというのは、ありがたい話ですね。
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