自社開発を抱えている会社にとって、技術の要となる部門があるという状態は、ビジネスにとって非常に有利です。
開発業務を全て外部委託して賄っている会社や、自社の社員ではない人を請け負いとして社内に出向してもらっている会社は、どうしても自社の技術ではないという点があるのと同時に、経営としての技術を武器にできないという事を欠点に考えてしまいます。
ただ、自社に開発部門を持っている会社でも、エンジニアの質次第で残念な会社になり兼ねないという事を、最近訪問した会社で感じたので、シェアしたいと思います。
できない理由を語るエンジニア
とある企業用アプリケーションを自社内開発して、数多くの企業に利用されている老舗の会社に言って話を聞いた時の事です。
その会社は、自社製品拡大の為にオフショア開発を早急に遂行する計画を立てており、社長に話を聞いた時に、自社の将来の方向性や商品の今後の拡大する期待を目をキラキラしながら話されていて、非常に熱量のある社長さんで非常に好感が持てました。
その会社の問題点としては、開発部内のエンジニアの人員数が少なく、それを早急に補うためにオフショアという方向性を決めたとのことですが、その際にオフショア開発という事を経験したことが無い社内でどうしても失敗してはいけないという社長の希望から、僕がお話を伺う流れになったのですが、とても不安だという空気が伝わってきていました。
そして、社内の開発員全員を入れて、社長と一緒に、オフショア開発スタートにおける話をした時に、その会社の開発員全員(6人)と会ったのですが、やはり想像通り会議の中ではネガティブな発言の連発で、一生懸命、技術が分からない社長が素人ながらに行なう提案をことごとく「できない」という理論を展開する開発員に対して、非常に残念な気持ちでいっぱいに成りました。
本来会社の課題を技術で解決したり、製品に新たな技術を投入し続けて製品クオリティを上げ続けていかなければならない開発部門の人達が、ネガティブな発言連発という状態です。
どのようなネガティ発言なのかというと、オフショアに開発環境を構築する際に、先方の開発環境が分からないという点から始まり、先方との共同開発において、ソースコード管理が問題なく行えるか不安、.NETを利用しているので、GIT管理が正常に行えず、MSのVSSを使わないといけないが、そのやり方が本当にいいのかどうか分からないという事。
挙句の果てには、開発作業事態をオフショアに移行する計画のはずが、現時点で存在する不具合修正や、開発途中のソースなども存在する事から、自社の開発を止めるわけにはいかないという、言い訳じみた発言の連発です。
もちろん人はよさそうなそこそこの年齢に見受けられた人達だったのですが、自分たちが経営の足を引っ張っているという感覚が一切ないようです。
可哀想なのが社長さんで、自分を助けてくれるはずの開発員が、自分の提案をサポートしてくれるどころか、アイデア一つ出さずに、過去の失敗、自分のスキルの無さを知ってか知らずか、「出来ない、ダメ」という発言のみ。
僕は、こんな開発部門を持っている会社にどうしても未来を感じることができませんでした。
経営に繋がる開発部門
幾つかの会社の開発部門を経験した事のある僕自身も、偉そうなことを言っていますが、ネガティブな発言をする開発員の気持ちはわからないわけではありません。
技術のわからない人の要望は、技術的に可能かどうかも分からず発言するため、「そんな夢物語は現実的に無理」という可否ジャッジを行う必要があります。
その時にNG発言をする事はある意味その議論で長時間費やすよりは、よほど効率的で経営に必要なジャッジという事になります。
また、開発員の適正人員という工数管理が会社としてできていない場合、開発作業、運用作業、技術に関わる全ての作業を開発部門で行なうことになりますが、見えていない細かな作業などの管理も含めて行なう開発員は、本来担うべき開発業務以外の雑務の多さに辟易としている社員も少なくありません。
この状況は、技術がわからないという経営ボードが、開発部門の作業分析ができなく、分からない箇所をおしつける形で仕事遂行させているため、そうした開発員に対する後ろめたさも加わり、「申し訳ない」という気持ちにより、キツイ対応ができないというケースもあります。
社長を含め、会社上層部に技術経験者がおらず、エンジニアが少数精鋭という会社の形態で多く見られる状態ですが、ここで残念なのは、そうした事態を脱会する術を会社内で生み出せないという所です。
この会社は決して行けていない人達ではなく、会社の商品もかなり売れている商品、エンジニアも全て自社の社員、少数で非常に低コストでの販売ができている、周囲から見ると理想の会社でもあります。
僕の感じる残念なことは、思考性が凝り固まっていて、そこから脱会する事が自分達でできないという点につきます。
少なくとも開発員のヒューマンスキルとモチベーションアップを遂行する社内のルールや仕組みがあるだけでいいのですが、そうした視点に立てていないという事が本当に残念ですね。
理想の開発部門と現実を繋げる方法と思考
文句ばっかり言っている僕ですが、もちろん、以前いた会社で、僕もそうしたネガティブ君で合った時期もあります。
僕はこうした開発部員を生み出す会社の環境こそが悪であり、個人の開発員を避難するつもりはありません。
会社として、こういう自体回避の為にどういう環境にするのが望ましいのかというと、
まず、開発員が「成長した」という思考になる仕組みが必要です。
毎日同じ開発の繰り返しで、自分のスキルというよりは、繰り返しタスクをこなすスキルのみがアップする状況の場合、人は保守的になり、現状維持こそが最適という思考になってしまいます。
これを回避するには、必ず各個人に目標を持たせ、それをクリアしていくという課程を容易する必要があります。
その目標は、個人ごとに違うので、決して会社として、目標を同じにしたりしてはいけません。
重要なのは、会社としての目標というよりは、個人としての目標を重視する点です。
会社の売り上げや、商品の質アップという目標ではなく、個人でどんなスキルを伸ばすべきかという目標ですね。
もちろん、イケてるマネジメントが出来る人であれば、個人目標を達成した先に会社の目標もクリアできるという仕掛けも作ることが可能です。
こうした目標は、各個人が考えるのではなく、会社が用意することが理想です。
仕事としての目標と自分個人のプライベート目標を明確に切り分けるためですね。
会社の経営の基本は人事にあるとよく言われますが、「ヒト・カネ・モノ」と言われる経営の基本の人の部分は、この3つの中でも最も移り変わりやすく、一筋縄にいかないという、水モノ的な要素であるため、しっかりと工夫できている会社が成功するというロジックであると僕は信じています。
素晴らしいヒトが居て、良い方向性での導きがあれり、その会社に志があれば、成功しないわけがありません。
経営者の方であれば、こうした点をブラックボックスにしがちですが、キチンと目を向けてネガティブというブラックボックスからホワイト化してみてはいかがでしょう?
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