昭和47年生まれの自分は前職では、開発部門の長として、部門の最年長者として、一番のスキルホルダーとして、という環境から、教育を任されてきました。
そして、自分の知っている技術を教える勉強会を何度となく開いたのですが、基本的にその勉強会で部下が成長したと感じたことはあまりありませんでした。
そもそも、エンジニアの勉強とは、経験と自己学習をする以外にないという思考が頭にあり、座学や経験者の話などは、単なる結果論で、エンジニアスキルには結びつかないという風にも考えていました。
そして、現在、会社を立ち上げて、世の中の育成過程のエンジニアに対して、どのような教育が必要なのか、どういう成長をすべきか、現場でよく課題になるモチベーションについて、現時点での考えをまとめておきたくなったので、全3回の記事を公開します。
第1回 「教育とモチベーション」
第2回 「作りたいモノを作る事と仕事で作るモノの違い」
第3回 「社外コミュニティと人間関係」
何故モチベーションは下がるのか
会社がエンジニアとして採用をすると、何故か営業職と対比する事が多い。
文系や経営学部を出ているから「営業」、理数系を卒業しているから「開発」という配属決めや、
売り上げを作るのが「営業」で、製造部門が「開発」という、仕事内容の決め。
もちろん、細かな作業などを考えると、こうしたカテゴライズは非常に重要だし、役割分担で明確にしてもらえると、いくらか気分も楽な場合も多い。
ただ、経営の人達に理解しておかないといけない点として、
プログラムを書ける営業もいる
売り上げを作り出すことのできる開発もいる
という事。
それらの期待をするという事ではなく、従業員を型にはめる経営をすると、その殻を破る従業員は数少ないという事を理解できると、伸びやすい環境を会社内に作ることは大いに可能であると思われます。
逆に、型にはめられた人は、大多数、ストレスを感じ、結果、モチベーションが下がってくる結果に繋がるので、やはり、会社という決まった器の中でも、どれだけ従業員が「自ら伸びたい」という思いを感じ続けられるかが、自然なモチベーションの維持、上げ方だと考えています。
仕事としてのエンジニアリング
誰でも与えられた仕事を100%こなすのは当たり前だと思われますが、「100%ではなく、120%の追求」や「言われていないことをやる」という考え方をご存知だろうか?
「100%ではなく、120%の追求」というのは、完璧なものをより、上を目指すという事ではなく、言われたことを実直に行うことが100%だとすると、自分の創意工夫を20%入れ込むという事を常に意識するという事。
例えば、言われた肯定のプログラムを構築した時に、ついでにデバッグ用のテストコードを自分なりに作っておくという事は、やっている人もいるし、やっていない人もいる。
やらなければいけないわけではないが、やっている人はより高みに進みやすい。
「言われていないことをやる」というのは、人とのコミュニケーションで100%の指示は有り得ないことを初めから理解して「聞いていません」というやりとりを行わないようにするという事。
この発言がどれだけ無意味な生産性の無い言葉なのかは、日本人であれば、理解できると思うが、世代差や、環境差によって、言葉足らずを補う重要なスキルであることは間違いない。
要するに、仕事を終える上で、自分が行える最大限をする時に、部分的な指示しかもらえない環境に甘んじるのではなく、自ら動いて、全体像を把握するという行動が重要なのである。
厳しい言い方だが、目的の分からないプログラムを構築しているようなエンジニアは、いまの世の中、すぐに用無しとレッテルを貼られてしまうのだ。
良い人材と悪い人材と普通の人材
働く上で、エンジニアは、特別扱いされる現場が多い職種です。
良い意味でも悪い意味でも「特別扱い」です。
他業種よりも、脳みそを使うようなイメージで、単価の高い給料をもらえるのもこの職種。
技術がわからないということで、パソコンに関するありとあらゆる作業を無茶振りされるのも、この職種。
ここで言う、「良い人材」とは、置かれた環境の周囲の人が期待するエンジニアに合っているかどうかが判断基準です。
壊れたパソコンを直して欲しければ、直してあげることがどれだけエンジニアとしてのポジションが高まるかを理解しましょう。
間違っても「それ僕の仕事じゃないです」などと言わないように。
もちろん、無茶ぶりの中には、出来ない事もあるかもしれません。
僕の経験では、「携帯の電波が入らないので、アンテナ3本になるようにして」と言われたこともあり、頑張って、アルミホイルでパラボラアンテナを作った事もありました。
もちろん、1本もアンテナは立ちませんでしたが・・・
エンジニアの良い、悪いを判断するのは、すぐ近くにいる、周囲の人達です。
同じチームのエンジニア達からも評価対象になるし、
完成した製品のクオリティでも判断されます。
ここで気をつけたいのが、「良い悪い」の判断は、してもらっても、「普通」という判断をされることを避けましょう。
良い判断をされれば、気分が高まりモチベーションが上がるし、
悪ければ、改善して自分がスキルアップできるというポジティブ思考に持っていけます。
でも普通って、なんも評価されていないのと一緒です。
是非同時に、周囲の環境を評価してみることをオススメします。
どんな人材に育って欲しいかという願望
少し、偏った風にも聞こえる、エンジニア像について書きましたが、もし会社に属するエンジニアであれば、「会社の中で○○というジャンルなら・・・」という肩書を作れるようになってもらいたいです。
もしフリーランスのエンジニアの方であっても、同じことです。
一つのジャンルに縛られたくない人は、ジャンルの数を増やしましょう。
間違っても、全てにおいて・・・というような欲張りはしないこと。
人員構成でエンジニア数が少ない場合は、オールマイティ的なジャンルになる場合もありますが、自分の好きなジャンル、苦手なジャンル、スキル・経験のあるジャンル、自分より他の人が得意なジャンル・・・
というぐらいは頭においておきましょう。
最後に
「教育とモチベーション」で何が書きたかったのかというと、これからエンジニアを職として行きたいと考える人は、不安も覚えることも沢山あるはずですが、
なにより、作ることを楽しめるかどうかが、習得のスピード、仕事としての成果が高く出せるポイントだと考えています。
もちろん、中には向いていない人もいたり、かなり無理をしていたり、どうしても思考がプラスに持っていけない人もいます。
むしろ、そういう人がどのように成長するかをサポートするのが、実は僕の本来やりたい事なのだと色々なエンジニアを通じて考えていました。
そういう人が、明確にどうすれば、スキルが上がるのか、モチベーションが上がるのかは、現時点では、特効薬はありません。
今後はタイプ別にでも、効果のあった方法などを経験談として、記事にして行こうと考えていますので、興味のある人は、お便りいただければ幸いです。
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