
「いや」という言葉は、不思議な言葉です。
子供が全力で放つ「イヤ!」もあれば、
大人が空気を壊さないように使う「いや〜、まあ…」もある。
否定のつもりなのか、
会話のクッションなのか、自分でもよくわからない「いや、でもさ」なんてのもあります。
気づけば、日常は「いや」であふれています。
無意識に会話の中で「いや、これはね・・・」と逆説でもないのに、接続詞的に使っている人もよくいます。
まるで一年を代表する言葉を決めるイベントがあるなら、「イヤ・オブ・ザ・イヤー」が開催されてもおかしくないくらいです。
今回は、そんな「いや」について、少しだけ考えてみたいと思います。
子供の「イヤ」は、全力で正直
小さな子供の「イヤ!」には、遠慮がありません。
眠いからイヤ。
食べたくないからイヤ。
帰りたくないからイヤ。
理由もシンプルで、感情も一直線です。
大人から見ると困ることもありますが、ある意味では、
とても純粋です。
自分の感情をそのまま表現しているだけだからです。
でも、大人になると、この「イヤ」は少しずつ変化していきます。
自分も経験として、親としては、我が子のイヤイヤ期は、なかなか神経がすり減るストレス蓄積期ですが、
後から思い出すとそれも子どもの成長の一途期として、懐かしく思えたりもするんですよね。
大人の「いやいやー」は、だいたい防御
大人になると、「イヤ」はストレートではなくなります。
商談で無理なお願いをされた時の、「いやいやー、さすがにそれは…」
褒められた時の、「いやいや、そんなことないですよ」
本当は断りたいのに、空気を読んで笑いながら言う「いや〜、ちょっと…」
いつの間にか、「いや」は感情ではなく、
会話の潤滑油になっています。
便利な言葉です。
便利すぎるくらいです。
でも、便利だからこそ、口癖になる。
何か言われるたびに、「いや、でも」「いや、それは」「いやいや」。
否定から入るクセは、自分でも気づかないうちに、思考まで否定寄りにしてしまいます。
個人的には、最近はこの「いや・・・」という話し方をする人は、メタ認知ができていない人なのではないか?という見方になってしまっています。
「いや」が増えると、世界も少し狭くなる
もちろん、「嫌なものは嫌」と言うことは大切です。
全部を受け入れる必要なんてありません。
でも、「いや」が先に来るクセがつくと、
新しいことが入りにくくなります。
面白そうな話にも、「いや、自分には無理」
チャンスにも、「いや、失敗しそう」
誘いにも、「いや、忙しいし」
こうして、「いや」は少しずつ可能性を削っていきます。
言葉は、思っている以上に、自分の頭に残ります。
毎日「できない」を言っていると、本当にできない気分になるし、
毎日「無理」を言っていると、挑戦する前に終わります。
だからこそ、「いや」を使う回数は、少しだけ意識した方がいいのかもしれません。
個人的なオススメとしては、「いや」を使わない会話をするだけでもいいと思うんですよね。
イヤ・オブ・ザ・イヤー
こんなイヤ会話は嫌だ 「イヤ・オブ・ザ・イヤー」を開催してみたいと思います。
「いや、知らんけど。」
関西系オチの最終兵器。急に責任を放棄する便利言葉。
「いやいやいや。」
“いや”の数で感情を表現するタイプ。3回超えるとだいたい混乱している。
「混乱度=連呼回数」と考えてもいいかも。
「いや、それは逆に。」
逆に何なのかは、本人も決まっていないことがある。
類似に「なくなくない?」というのもある。
いや、それ、どっち???
「いや、でもさ。」
反論の入り口として万能すぎる言葉。
「いや」、いらなくない?
「いや〜、難しいっすね。」
やんわり断る社会人スキル。
これほど便利な接続詞もないっていうほど会話の場繋で、上にも下にも使えるちょうどいい言葉。
「いや、ワンチャンある。」
だいたいワンチャンない時に使われる。
不思議と、「いや、・・・ない」って言わないことに気がついた。
「いや、普通に。」
“普通”とは何かを考えさせられる危険ワード。
逆説からの、デフォルト・・・もはや現代語なのかも・・・
「いやいや、お気持ちだけで。」
受け取ると面倒な時に発動する丁寧な防御。
へりくだりの最上級?
「いや、それ前も言ったよ?」
静かに相手のHPを削るヤツ。
でも、これの別の言い方の最適解を自分はまだ知らない。
「いや、聞いて?」
聞いてない時ほど使われる。
この「いや」はなかなか強めに言う言葉でもある。
「いや、そうはならんやろ。」
ネット文化で強化されたツッコミ。
自分が上から目線で気持ちよく言う言葉で、相手が笑ってくれるとコミュニケーション成功!
「いや、なんでやねん。」
関西ツッコミ界のレジェンド。
漫才定番のツッコミワード。日常会話でも、使ってみたくなる気持ちはよくわかる。
「いや、逆になんで?」
質問を質問で返す高等テクニック。
英語では、「Why」だけで済むのにね。
「いや、ガチで。」
信頼度を上げたい時に付与される補助魔法。
「いや」よりも、「ガチ」の方が強く聞こえるのは自分だけ?
「いや、むしろ。」
方向転換の合図。話題が変わる前兆。
「こっちが正解」の別の言い方。
「いや、寝てないわ〜。」
だいたい少し寝ている。
上級者になると「8時間しか寝られんかったわ〜」と言う。
「いや、いけるいける。」
根拠はない。でも勢いはある。
勝てない勝負でも、完全にノリと運に任せる時の負け戦の時の責任取らないセリフ。
「いや、無理無理無理。」
“いや”と“無理”のコンボで鉄壁防御。
ジョジョ的ワード。
「いや、今日だけだから。」
今日だけだった試しがない。
「一生のお願い」と類似。
「いや、そこまでじゃない。」
謙遜なのか本音なのか判断が難しい。
言う人によって、「イラっとされるか」「大爆笑になる」かの分かれ道ワードでもある。
「いやよいやよも好きのうち。」
昔から使われるけど、現代では扱い注意なやつ。
最近では、長すぎるので、「イヤスキ」と言ってあげた方がいいかも。
でも、この略し方、別の意味に聞こえて危険!
「いや〜、時代っすね。」
説明を放棄しながら、なんとなく納得感を出す。
若めの後輩が、卓越したつもりで行って、行った後に、上司から何かしらやり込まれてしまう、地雷スイッチ敵ワード。
あとがき
「いや」という言葉は、短いのに、とても強い言葉です。
だからこそ、無意識に使いすぎると、
自分の世界まで狭くしてしまうことがあります。
もちろん、本当に嫌なことは拒否していい。
でも、クセみたいに「いや」を置いてしまうなら、一回だけ飲み込んでみるのもアリかもしれません。
もしかすると、その先には、今までとは違う景色があるかもしれません。
いや、本当そうなのよ。
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