
先日とある企業にお呼ばれして、会社に訪問させていただきました。
その会社は比較的大きな企業ですが、エンジニア部門で色々な悩みがある会社さんでした。
・エンジニアの離職が多く困っている。
・エンジニアの人の評価をどうすればいいか分からない。
・エンジニアとコミュニケーションが取れない。
・使えないエンジニアを辞めさせたい(入れ替えたい)。
概ねこんな感じのご相談だったんですが、最後の項目、辛辣ですね・・・
エンジニアの人たちとコミュニケーション
ちょうど、訪問をした日に、会社所属のエンジニアの半数が出社をしていて、残りの半数はテレワークをしている状態でしたが、
みなさんで会議をする時間を作っていただき、お話をする機会をいただきました。
基本的にテレワークが主体のその会社なので、みんないつもビデオチャットで報告をしたり、打ち合わせを行なっているのだそうで、
いつものスタイルで、デイリー報告会をやってもらっている時に、一人の人を除いて、他の人全てがビデオチャットの、カメラをOFFにして、マイクもOFFにして会議に参加していました。
また、こうしたアホ従業員がいるエンジニア集団だったのか・・・と心の中で感じ、
全員に、まずカメラをONにするように促してみました。
同時に、カメラがONにできない人は、その理由を教えて欲しいという風に行ってみたところ、5分ほどして、すべての人のカメラがONに切り替わりました。
そのエンジニア部門の中の人で、フルテレワークの人で初めて顔を見たという人が半数ぐらいいたらしく、みなさんキョトンとしている様子でした。
すかさず「何でカメラをオフにしてこれまで会議をしていたの?」と聞いてみると、ダンマリの中一人だけ返答をして「特に理由はありません」とのこと。
本当に、何も考えていないエンジニアの集団だと言う事が明確になり、非常にコミュニケーションレベルが低い集団だと直感しました。
本来ならこの時点で、全員落第点だという判断をしても良かったんですが、とりあえず、技術力を見抜こうと思って、話を進めてみると・・・
エンジニアの人の技術レベルを見抜く質問
「得意な言語」と「これまでやった中で一番自慢できるプロジェクト(または個人開発)」を一人ずつ自己紹介がてら話してもらいました。
おおむのこの時点で、技術レベルが明確になります。
個人的な判断ポイントとしては、多くのエンジニアは、こうして何かを説明するように促された時に、話慣れていない事に対して、苦手意識が先に走るため、「何を話せばいいですか?」と逆に質問をしてきます。
なので、最初は必ず自分が自己紹介する事で、会話のフレームを見せてあげるようにします。
もちろん、流暢に話ができるエンジニアであれば、こんなことはしなくても普通に会話できるんですが、
ダメエンジニア部門って、こういう子供を相手にするような扱いをすることで、相手も落ち着いて話を聞いてくれるというのも、これまで培ったコンサルテクニックなんですね。
そして、それぞれのエンジニアが一人ずつ話をし始めた時に、個人的に必ず行う事があり、
全員に対して、その場で必ず何かしら一つ以上の質問を行う事です。
想定されていない質問に対して、どう答えるかと言うコミュ力テストでもありますが、仕事をする姿勢を見抜く心理テストでもあります。
これまで自分がやってきた仕事をどれだけ誇りに思っているか?
自分のアピールポイントを自分で理解できているか(持っているか)?
誰のために仕事をしているか?
こんなポイントでエンジニアを見ると、技術力も自ずとそれに伴っている事がわかります。
不思議ですよね。他人に興味のないエンジニアって、技術力が合わせて低いんですよね。
「オタクっぽくコミュ力がないけど、技術力がすごい」みたいな神エンジニアって、独特なアピールポイントを持っているので、その点は他との差別化された見方もできるんですよね。
評価の結果
今回9名のエンジニアの個人的な評価を、その会社の技術部門担当の役員に伝えたところ、
社内で他部署にアンケートをとっていたらしく、
他部署から評価が低かったエンジニアと、今回評価したエンジニアの、下から三人が、一致しており、これらのエンジニアにリプレイスを考える事にしたようです。
あ、言い忘れてましたが、このエンジニアさん達は、一人を除いて他はすべて業務委託契約されているエンジニアなのだそうで、
3ヶ月ぐらいでの更新契約なのだそうです。
残念ながら、
・まるで話ができない(コミュニケーションが取れない)
・業務認識レベルが低い
・これから先の仕事に対するやる気が希薄
これらの尺度で、どうしても会社の力になりずらい人は、リプレイスするという判断に至ったようです。
個人的な意見
エンジニアを評価して分かったことは、この会社は従業員をモノとして考えていて、
人を育てる文化自体が希薄だという事を理解しました。
もちろん、そんな会社だから、中で働いている人もやる気が上がらないのはよく理解できました。
従業員って優秀な上司や指導者がいて初めてその人と一緒に難しいプロジェクトに挑んでチームで勝ち上がっていくという、少年漫画のような展開を期待したいのに、
それが現実ではないと知った時に、心を閉ざしてしまうんだと思うんですよね。
舞台を整えるのは会社組織側の責任だと言うことは、今回のエンジニア評価と合わせて会社側にはお伝えしておきました。
会社で一度でも関わった人は、その人を成長して、会社としても役に立ってもらえた方がはるかに前向きな事なのに、「使えない人はすぐに入れ替える」というスタイルの会社って、
人を人として見ていない証拠じゃないでしょうか?
使えない人は育てたら使い物になるのが人としての共同体のあり方だと思うんですよね。
まあ、その会社にはそんな人を育てる事ができたり、リーダー気質の人間は皆無だったので、その中で働く人も、その職場に居着くかない方が幸せという判断もアリかとも考えたんです。
あとがき
なんとも個人的には後味の悪い今回のコンサル案件でしたが、改めて会社とか組織のあるべき姿が理解できた気がしました。
「こんな会社で働きたい」という場を提供できていない会社は、いっそのこと従業員から職場評価をしてもらって辛辣な現実の意見をもらった方がよほど会社の未来が明るいのではないか?とも思ったんですね。
耳がいたい人も多いと思いますが、
会社も人格ってよく言われるのは、会社という人格のコミュ力が問われている時代なんじゃないかと思うんですよね。
実際に会社が話をできたとしたら、「こんな社長は嫌だ」てきな大喜利合戦が始まるかもしれませんね。
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