WEBサービスを構築してビジネスにする事は世界的にもスタンダードになってきました。
今まで手作業で行っていた事をシステム化するというだけでなく、人と人とのマッチングを行う事も非常に手軽に行えるようになってきました。
スマートフォンという切り内でこれまでパソコンが苦手という人でも、WEBを閲覧し、プログラムなんか分からないけど、アプリを使えばコミュニティに参加できたり、手軽に買い物ができるという事も、身近な体験として得られるようになり、時代がIT化する流れに沿って動いています。
僕は仕事でもプライベートでも、数多くのWEBサービスを立ち上げてきた実績を持っていますが、今まさにWEBサービスを立ち上げてビジネス展開しようとする人のために、サービスの成長過程を最初から知っておく事はとても重要だと思い、ブログに書き記すことにしました。
ただし、ここに書くのは僕の経験上の事での参考例なので、全てのWEBサービスが当てはまるわけではありませんので、なんとなく言いたい事が伝わればという程度にご覧ください。
WEBサービスはITに詳しい人が作らなければならない
ITサービスを立ち上げる時に、技術に詳しい人をメンバーに入れる事を第一優先にする事は非常に重要です。
立ち上げたばかりの会社や、これから立ち上げる予定の会社で、サービスアイデアを熱く語る社長さんはたくさんいますが、技術的に優位点を持ってWEBサービスを作っていこうとする人は、エンジニア経験者の社長さんしかいません。
あたりまえですよね。だって、技術が分からなくてもいいアイデアが浮かんじゃったんだから、まずはそれをサービスの形にする事が最初ですよね。
そこでこうした社長さん達は、とりあえず自分の考えているサービスを作れる人を探し、その人に作ってもらうわけですが、ここでその作ってくれる人のレベルによってそれからのサービスのクオリティが良いも悪いも、左右されてしまう事はこの時点ではあまり考えられていません。
だって、自分が思いついた良いアイデアをそのまま形にしてくれれば、成功すると考えているからですね。
僕の経験上では、その製品が完成した後で、何かしらの問題点を改善しようとした時に、「設計のやり直し」という大きな壁にぶち当たってしまいます。
ここでのポイントは、アイデアを形にする時に、技術的にどういう風に形にすれば良いかというのは、方法論が数え切れないほどありますが、その人の考えている方法とそれから先の改良ポイントや拡大ポイントなどを、技術的にエンジニアに考えてもらっているかです。
やみくもに「考えろ」と言っても、雇われエンジニアは「言われたことはやってます」と返答するだけです。
作れるエンジニアと、ITに強いエンジニアと、ビジネスに強いエンジニアが見極められるかがここでの重要なポイントです。
WEBサービスの成長フロー
次に考えたいのは、WEBサービスって、成長するものだと考えなければいけません。
これは、アイデアを実現しようとする経営者も、それを構築するエンジニアもです。
Googleの検索サービスも、Gmailもカレンダーも、全てのサービスが、不定期ですがバージョンアップし、機能追加を行い、ユーザーに便利に使ってもらえるように成長しています。
FacebookもTwitterもそうだし、MicrosoftやAppleの提供しているパソコンやスマートフォンのOSなども、1年前のものが化石に感じるくらい古いと思ってしまいます。
世界規模の会社を見るとわかりやすいのですが、日本国内の企業でも、WEBサービスを運営している会社で成功しているのは、WEBサービスが成長しているという点です。
そして、実際にWEBサービスの成長過程がどういうものなのかをみてみましょう。
成長過程
1. アイデアを実現させるフェーズ
2. サービスを使ってくれる人が便利だと感じるフェーズ
3. サービスをお金を出して使う価値を感じてもらえるフェーズ
4. サービスが拡大し、サービス提供者が資金的な余力が出てくるフェーズ
5. 競合が現れて、対抗するための機能追加を余儀なくするフェーズ
6. 一部のユーザーだけが使っていたところをオールラウンドに拡大(またはグローバル)するフェーズ
7. サービスクオリティを落とさないように継続の仕組みを構築するフェーズ
まず、国内サービスから立ち上げて、その後順調にグローバル展開する流れのサービスの場合のフローですが、機能追加や仕組み化などは、必ずしも順番がそのフェーズでない事もある事をご了承ください。
順に説明していきますね。
1. アイデアを実現させるフェーズ
サービスのベータ版です。
この時点で完璧を求めてはいけません。(もちろん完璧であればいうことはありませんが、多くのサービスが完璧にならないでしょう)
ここで重要なのは、想定している機能が使えることであって、UI/UXが他より劣っている事ではありません。
このフェーズでは、作り上げた機能が技術的にサービス運営する事で問題がないかを見極める事と、それを使う人のUXを見極める事です。
それから、ベータ版とはいえ、サービス公開する前に、知財について調べておいた方がいいでしょう。あまり知見のない人は、弁理士に相談してみるといいかもしれません。
2. サービスを使ってくれる人が便利だと感じるフェーズ
第1フェーズで出た課題を解決すると、技術問題点とUI/UXが成長します。
そして、それを使うユーザーが、改善した通りに「イイネ」してくれるかどうかを見極めるフェーズです。
ここでユーザー視点に立てないサービス運営者は、その後失敗することは間違いないでしょう。
この時点でも技術問題点は発生しますが、ユーザーが求めるクオリティをいかに裏切らないかが、サービス成長の重要なポイントとなります。
3. サービスをお金を出して使う価値を感じてもらえるフェーズ
これまでベータ版だったサービスも、有料課金をするフェーズになるということは、技術的な問題点はクリアいる状態になっているはずです。
この時点で有料なのにサーバーの負荷計測ができていない状態はあり得ません。
そして、技術的にもその後どういう機能追加や技術変更がある場合もほとんどのケースを想定している状態にエンジニアチームはしておかなければいけません。
4. サービスが拡大し、サービス提供者が資金的な余力が出てくるフェーズ
サービスが順調に使ってもらえることで、会社としての売り上げも拡大するはずです。
この時点で原価率と利益率が不安定な場合は、経営者の能力が不足しています。
できることであれば、経営メンバーの見直しをしてみてもいいでしょう。(ただし、従業員の立場ではここの口出しはできない事が多いですが・・・)
この時点でのサービスは、まだまだ機能追加要望リストが溢れていると思います。
それは、利用するユーザーが増えれば増えるほど、要望も増し、サービス運用に携わる人が増えるほど、ユーザーに提供したいという機能追加要望は増えるものです。
こうした事を受け入れるエンジニアチームも成長過程として非常に重要な要素であると言えますね。
5. 競合が現れて、対抗するための機能追加を余儀なくするフェーズ
そのサービスを利用するユーザーがいるということは、それを横取りしようと考える企業も少なくありません。
もちろん、大手が後追いしてくることもあるので、初回から知財についての検討も必要不可欠なのです。
この時点では、先行優位に働くような施策を事前に練っておくことが必要です。
知財としての特許や商標、ユーザーが集まっているからこそ提供できるサービス(これまでのユーザーデータの分析やサービス運用経験に基づく得意のアイデアや認識など)
要するにいかに大手がユーザーを横取りしにきても、ユーザーがホイホイついていかないようなサービスクオリティにしておく必要があるんですね。
6. 一部のユーザーだけが使っていたところをオールラウンドに拡大(またはグローバル)するフェーズ
このフェーズでは、特定の人だけが使っていたサービスであった場合、もっと多くの人に使ってもらうための機能追加をしたり、サービスとしてのブランディングを大きく変更する時期です。
もちろん、海外展開などは、ユーザーを増やす大きなターニングポイントになるでしょう。
サービス開発としては、グローバル対応としてのローカライズ作業が発生しますが、これは、初回から検討しておかなければいけませんね。
この時点でアタフタしていたら、そこまでの能力チームという事になりかねません。
7. サービスクオリティを落とさないように継続の仕組みを構築するフェーズ
最後に重要なのがサービスクオリティを落とさないという事は、ベンチャー会社の場合なかなか十分にできない「検証・テスト作業」という工程を組み込む時期です。(もっと早くから組み込んでもいいですが)
あとは、必ず後手に回るサービス開発におけるドキュメント構築、運用するための運用手順書、テスト仕様書、開発コードのレギュレーション(コーディング規約)などを、漏らさず作成しなければいけません。
ここで重要なのは、誰がやっても一定の作業が行えるというトヨタ方式が望ましいでしょうね。
もちろん、ロボティクスなどによって機械化(自動化)できる箇所はどんどん自動化しましょう。
ただし、機械化する箇所もきっちりドキュメントを構築しなければいけません。
サービスの成長の先
サービスを生み出す事は、自分の子供を産み出す事と似ていると考える人も多いですが、僕もまさに同じ感覚をよく味わいます。
そのサービスをもっと成長させて、世の中に通用する成人に育て上げることが、サービスを生み出した人の責任になると考えています。
開発の人は、お医者さんのようなもので、生まれた時から、メンテナンス、時には機能追加とするワクチンや予防接種
さらには、成長に合わせた衣服や食事などのサポートなども行う何でも屋さんにならないといけませんね。
もちろん、世の中で受け入れられないサービスも数多くありますが、経営者として心が折れてしまうのであれば、サービスも浮ばれません。
最初のひらめきのレベルが低すぎたというよりは、その後のアイデアを出すスキルが不足していたと考えた方がいいでしょう。
失敗は、心が折れた時に失敗するのであって、仮に失敗しても、いろいろなアイデアで盛り返していると、失敗から生まれる成功もある事を知ります。
あとがき
この記事を書いて、サービスの成長とは、それを育てる運営者が想いと熱意を持って、大きくしていく事がとても重要なんだという事が改めて僕も認識できました。
この記事を読んでくれた人は、サービスを育てる立場の人が多いと思いますが、あなたは今育てているサービスに対する想いは、誰にも負けない自信がありますか?
即答で「Yes」が言える人は、間違い無いでしょうね。
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