
最近よく見かける答えのない「思考実験」系の書籍で、カワイイイラストっぽい表紙に釣られて読んでみました。
答えの無い選択肢って世の中にたくさんあるし、いざそれを自分が即座に答える場面に出くわした時に、人は一体どうなっちゃうんだろう?
ドギマギしちゃう人、アタフタしちゃう人、答えられない人、一か八かで選択しちゃう人・・・
もしかしたらどれも自分が望んでいない対応なのかもしれない。
こうした、"いざ"という時のために、答えのない選択をたくさん事前にこなしておこうという趣旨の書籍です。
レビュー
★★★★☆
全部で7章、42の質問で構成されている書籍です。
すべての質問が、独自の文章で書かれており、この書籍特有のワールドを作っているので、イメージしやすい質問になっているので、非常にわかりやすかったです。
でも、ほとんどの質問が、何かしらの元ネタがあり、そのまんまの質問もあったんですが、とにかくわかりやすさと世界観にこだわっていた筆者の思考が好感度が高かったです。
必ず質問に対して、二択の選択肢が設けられており、自分が
どっちかを選び、それを
選んだ理由を考えるという、この思考をすること自体で、
究極の選択と思われる事態に対して自分の思考をまとめておくことができる、思考ドリルになっているので、読み進めて行くと、なんとなく達成感というか、蓄積感が生まれてきます。
確かに、この手の思考実験系の書籍には、どれも必ず書かれている定番の難題があり、この書籍にも「テセウスの船」「トロッコ問題」は入っていたんですが、
とにかくわかりやすく書かれていたので、人に説明するときなどの参考にもなるお手本的な印象を持つことができました。
そして、この書籍で一番記憶に残った質問が「ヒヨコの実験」です。
こういうのをネタに友達とお酒を交わしながら議論するのもいいかもですね。
この書籍から学べるポイント
小鳥の世界
一言で説明すると、「動物園の動物は、幸せかどうか」という質問です。
何不自由ないけど、檻に入れられて、人に見られる生涯を、自分としてどう捉えるかを考えさせられる質問。
人間でも、人生が辛くて自分で終わりにしちゃう人がいるけど、人の幸せって一定間隔で線引きができないからね〜。
ザッパクタとウサギ
とある言葉の通じない原住民が、ウサギをみて「ザッパクタ!」と言ったのを見た人が、「ザッパクタ」を「ウサギ」という意味だと思うのは正解かどうかという質問。
言語学者が知らない言語を学んでいく過程がよくわかる面白い質問。「うまそう」とか「危険」と言ってるかもしれないからね。
世界5分前仮説
イギリスの哲学者、ハーバード・ラッセルが提唱した思考実験を元にした質問が入っていました。
「自分が生まれた」のも「目の前の何か」も、すべて5分前に作られたのだという突拍子もない仮説ですが、正直この質問というか、説自体の意味がわからなくて、ネットで調べてみました。
・世界の始まりは5分前。
・自分の古い記憶は、5分前に植え付けられた。
・昔の写真などは5分前に捏造された。
これは一体、何を言っているのかサッパリわかりませんでした。
どうやら、この滑稽な思考は、5分以上前の記憶が正しいかどうか、証拠もなければ、検証のしようがないという事を逆手に取った質問だったようです。
タイムマシン
タイムパラドックスを考えさせられる問題で、
主人公が生まれる前に事故に遭って、視力を失ってしまった母親の事故をタイムマシンを使って事前に防ぎたいと考えた男の子の話。
母親の主知医である父親と出会う機会を奪い自分が生まれない未来になってしまうというのを、"やるべき"か"やらざるべき"か、結構ジレンマに陥りますよね。
永遠の命
絶対に死なない体を手に入れるたいかどうかの選択。
言い換えると、「永遠に死ねない」という無限を望むか、普通がいいかの選択ですが、
これは人によって、条件によって、独自に付け加えるルールによって、様々な思考回答が生まれそうですね。
ちなみに、自分的な独自ルールは、周囲のみんなも永遠の命になるなら、是非そうしたいですよね。
哲学的ゾンビ
普通の人と見た目も振る舞いも何も変わらないあなたの恋人が、ある時"ゾンビ"だと知ったら、付き合い続けるかどうかという質問。
これまで幸せだったのにその事実を知っただけで不幸せに感じてしまう感覚がなんとも不思議な話でした。
「知らない方がいい」という現実って世の中にはたくさんありますからね。
絵画コンテスト
AIが描いた絵画でコンテストの優勝をもらった場合、
少しの指示をしただけの優勝者は、賞を受け取ってもいいかどうかという質問。
今時のAI議論をそのままにドリルにしたモノですが、倫理、道徳がAIの登場によって変わってくる感覚を覚えた質問でした。
この次の質問で、「AI自動車」が事故をしたら、責任はAI開発者にあるのか、運転席に座っている人にあるかというのも、今後の保険や法律に影響するだろう問題ですよね。
ヒヨコの実験
1羽のヒヨコをビンに入れて、特殊なミキサーで粉々にした場合、
「元のヒヨコと比べて、何か失われたものはあるか?」
という想像したくないような質問。
「物質としては、砕かれて重量も変化がないので、失われていない」という科学者と、
「命が失われた」という、衝撃を受けた人。
この思考は「ポール・ワイスの思考実験」を元にしていて、「積み木で作られた家を崩しても、積み木の一つ一つに変化はないが家では無くなってしまった」という内容らしい。
物理と道徳を天秤にかけたような内容と、想像したら寒気がする文章が強烈ですよね。
10年後に死ぬ病
10年後に確実に死んでしまう病にかかったことを、患者に伝えるかどうか悩む医師の選択肢です。
知らずに10年を幸せに生きるか、知って10年苦悩しながら生きるか、どちらが本人にとっていいことなのか、聞くわけにもいかずに苦悩する難問です。
命の値付け
災害が起きた時に、それぞれの人に支払われる保証金に差をつけるべきかという、人の命の値段をどう決めるかという問題。
過去日本で起きた震災では、「一家の大黒柱」か「それ以外」で金額に差をつけたそうです。
100万円のプレゼント
あなたと、Aさんに合わせて100万円プレゼントすることが決まりました。
100万円の分配は、Aさんに決めてもらうことになり、あなたに1万円、Aさんに99万円送られることになりました。
これをあなたは断るかどうか?という二択問題。
あなたが断ると、プレゼント自体がなくなり、Aさんも何ももらえなくなります。
そのまま聞くとAさんの判断がおかしいと思いがちですが、これって普通に会社の上層部が大金のボーナスをもらって、一般従業員は、微々たるボーナスをもらっているソレと同じ構造です。
あなたはボーナスを受け取るかどうかという話にも聞こえますね。
頭が2つの鳥
それぞれに思考を持った2つの頭を持って体が1つの鳥を、1羽と数えるか、2羽と数えるかという問題。
ニュースなどで見かける人の場合は、脳ミソの数で、二人としているけど、動物の場合はどうだろう?
あとがき
その昔、「鴻上尚史のオールナイトニッポン」が元ネタで出版された、「脳みそパニック 究極の選択」という書籍を思い出しました。
まさに、二択でどっちを選択しても難があるという二択クイズだったので、学生時代に友達と面白がって呼んでいたんですが、
今回読んだ「思考実験ドリル」の書籍も、意図としては同じ趣旨でした。
現実に遭遇する難問に対して、自分の選択に後悔する人も多いことから、それを事前に仮想体験できるこうした思考ドリルは、ある意味有意義でもありますよね。
他にもたくさんある、類似書籍も読んでみたくなった今回の読書感想文でした。
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