物事に拘る(こだわる)ことは、ポジティブに捉えられがちですが、実際のところ、拘ることによるデメリットも存在します。
飲食店の入り口に書かれている「シェフのこだわり」とか、「こだわりの食材」と書かれていると、何だかその食べ物がとびきり美味しい印象を受けます。
また、農家などでも、製造者のこだわりにより、上品な野菜や果物が作られる事も容易に想像できます。
確かに、自分の行なっている作業に対して知識や技術を高めようとすると、それはこだわりを持って取り組むべきなのですね。
ただ、「拘り」というのはこだわっていい場面とこだわらない方がいい場面が存在する事を理解しておきましょう。
辞書で調べた「拘り」
辞書で調べてみると、以下のように書かれています。
weblio : https://www.weblio.jp/content/こだわる
大辞林 第三版
こだわ・る こだはる
- 心が何かにとらわれて,自由に考えることができなくなる。
気にしなくてもいいようなことを気にする。
拘泥する。 「金に-・る人」 「済んだことにいつまでも-・るな」
- 普通は軽視されがちなことにまで好みを主張する。
「ビールの銘柄に-・る」
- 物事がとどこおる。
障る。
「脇差の鍔(つば)が横つ腹へ-・つていてえのだ/滑稽本・膝栗毛 6」
- 他人からの働きかけをこばむ。
なんくせをつける。
「達ておいとまを願ひ給へ共,郡司師高-・つて埒明けず/浄瑠璃・娥哥がるた」
なんだか、ネガティブな内容が多いことに気がつきました。
全体的に、ポジティブに見えないのは、この言葉自体が負の要素を持っていることなのかもしれません。
でも実際は、マーケティングとして、商品の質が向上するように使われているのは不思議ですね。
エンジニアの拘り
WEBエンジニアの現場での拘りは、時として仕事が滞る原因になることがあります。
まさに辞書に書かれている「物事がとどこおる」という事なのでしょう。
それは、開発物や、WEBなどの制作物に関して、拘りを主張するということは、「プロダクトアウト」の思考になってしまうからです。
もちろん、こだわった結果、開発物がうまく制作される事もありますが、僕の経験からすると、同じ開発チームでのコンフリクトになり、その思考を全員がどのように納得するかに時間が取られて、作業が滞ってしまいます。
もっと簡単に言うと、一人がやりたい事を曲げない主張を「拘り」とすると、同じチームでそれに納得できない人、または別の主張がある時に、決着するには時間がかかってしまうことは安易に想像できます。
もちろん、チームリーダーの人が、そうした主張をきちんと方向性を決めていくようなチームは滞りは少ないかもしれません。
プログラマーの拘り
プログラマーの拘りポイントは、以下のようなものがあります。
・プログラム言語は1つ特化した物にこだわる。
・IDEやテキストエディタなど、開発環境は自分が今使っている物にこだわる。
・プログラムコーディングに対して、コメントの記述やインデントの状態など、どうでもいいことにこだわる。
とても開発者アルアルだと思いますが、こうした事を主張するエンジニアがチーム内に一人存在してしまうと、そのチームは進行が悪くなりがちです。
そして、経験上、こうしたこだわるプログラマーは、他人の主張を受け入れる姿勢が極めて少ないため、組織ではなかなか扱いづらい人材になりがちでもあるでしょう。
拘りは持たない方が良い
上記のような事を深く考えてみると、もしかしたら、「拘り」というのは、持たない方が、物事はスムーズに進むし、周囲のコミュニケーションもうまく行くのではないかと思われますが、個人におけるこだわりは必要な場面も存在します。
では、物事をうまく進めるために「拘り」というのは、どのように持つべきなのかを考えてみると、人に押し付けをする拘りは、物事を悪化させる要因しかなく、個人として拘りを持っている事は、物事を深く見るために必要であるでしょう。
仕事が滞る原因が、一人の拘りが譲れないところにあると、その人がいるがために、仕事が遅延してしまうという残念な評価につながります。
本人は、仕事でのクオリティに対して熱意を持って拘りを持っている為、悪い事をしているという自覚が無いでしょう。
しかし、「拘り」が「思い込み」である事も十分に考えられますし、人の意見を聞かない事が拘りだと勘違いしているケースも良く見かけます。
いっそのこと、そうした間違った方向性の拘りや、周囲とうまく付き合えなくなる拘りなどは、無い方がいいでしょう。
そうして考えられるのは、「拘らない事に拘る」という事で、結果が良くなることが多い事をおすすめします。
拘りは趣味のレベルに止める事がいいのかもしれませんね。
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