
Figma Designで画面を作ると、
見た目が整っているかどうかは確認できます。
しかし、それだけでは、ユーザーが迷わず操作できるかまではわかりません。
お問い合わせボタンを押した後、どの画面に移動するのか。
入力フォームで何を入力すればよいのか。
送信した後に、手続きが完了したと判断できるのか。
こうした一連の体験を確認するには、
画面を実際の操作の流れとしてつなぎ、
ユーザーの立場から試してみる必要があります。
このために使うのが、
Figmaの Prototype(プロトタイプ) 機能です。
これまで学習した、
Prototypeの基本的な操作や、Overlay、AnimationやStateをなど、
これらの機能を単独で覚えるのではなく、
ユーザーが目的を達成するまでの体験を設計するために活用します。
今回は、
UIデザインで作成したWebサイトのトップページを出発点に、
お問い合わせから送信完了までの流れを作り、
実際に操作して検証していきます。
Prototypeとユーザー体験の関係
Prototypeは、
画面や操作の流れを試せるようにする仕組みです。
Figmaでは、
- ボタンを押したら別の画面へ移動する。
- ダイアログを表示する。
- メニューを開く。
といった動きを設定できます。
ただし、Prototypeを作る目的は、画面に動きをつけること自体ではありません。
ユーザーが目的を理解し、必要な操作を行い、期待した結果にたどり着けるかを
検証することが重要です。
例えば、お問い合わせを目的としたWebサイトなら、次の流れを確認します。
1. トップページでサービス内容を理解する
2. お問い合わせボタンを見つける
3. お問い合わせフォームへ移動する
4. 必要な情報を入力する
5. 送信操作を行う
6. 送信完了を確認する
この流れのどこかで迷ったり、次の操作がわからなくなったりすれば、
画面の見た目が整っていても体験としては
改善の余地があります。
画面単体ではなく、操作の流れを設計する
Prototypeを作る前に、ユーザーの操作を整理しましょう。
今回は、次の3画面を使います。
| 画面 | 役割 |
| Home | サービスを紹介し、お問い合わせへ誘導する |
| Contact/td> | お問い合わせに必要な情報を入力する |
| Thanks/td> | 送信が完了したことを伝える |
画面の関係は、次のようになります。
このように、画面を並べるだけでなく、どの操作によって次の画面に進むのかを明確にします。
実習:お問い合わせフォームを作る
手順1:お問い合わせ画面を作る
1. Figma DesignでDay23のデザインファイルを開きます。
2. 新しいFrameを作成します。
3. 幅と高さを設定し、レイヤー名を Contact に変更します。
4. Frame内に「お問い合わせ」という見出しを配置します。
5. その下に「お名前」「メールアドレス」「お問い合わせ内容」のラベルを配置します。
6. 各ラベルの下に、入力欄を表す四角形を作ります。
7. 最下部に「送信する」ボタンを配置します。
入力欄は、テキストと図形を使って表現すれば十分です。
今回の目的は、本物のフォームを実装することではなく、
ユーザーが入力する画面を設計することです。
入力必須の項目がある場合は、
「必須」などの表示も加えておきましょう。
何を入力すべきかがわからないフォームは、操作を始める前からユーザーに負担をかけてしまいます。
手順2:送信完了画面を作る
1. もう1つFrameを作成します。
2. レイヤー名を Complete に変更します。
3. Frame内に「お問い合わせを受け付けました」という見出しを配置します。
4. 「ご連絡ありがとうございました。内容を確認のうえ、担当者よりご連絡いたします。」などの説明文を追加します。
5. 必要に応じて「トップページへ戻る」ボタンを配置します。
完了画面の役割は、単に次の画面を見せることではありません。
ユーザーに
「操作が完了した」と明確に伝えることです。
送信後に何も表示されなければ、ユーザーは操作が成功したのか判断できません。
完了メッセージと今後の流れを示すことで、不安を減らせます。
Prototypeで画面を接続する
ページができたら、前回作成したトップページと繋げて、
ユーザーの操作で、画面が切り替わるように設定します。
手順1:トップページからフォームへ接続する
- Home の中にある「お問い合わせ」ボタンを選択します。
- 右側の Prototype タブを開きます。
- 選択したボタンに表示される接続ハンドルをドラッグし、Contact のFrameへつなぎます。
- 作成されたインタラクションの設定を確認します。
- Triggerをクリック操作、Actionを Navigate to、Destinationを Contact に設定します。
これで、プロトタイプの再生中にお問い合わせボタンを押すと、フォーム画面へ移動するようになります。
ボタン全体を選択して接続することがポイントです。
ボタンの中にあるテキストだけを接続すると、操作できる範囲が意図したものと異なる場合があります。
フレームで接続するようにしましょう。
手順2:フォームから完了画面へ接続する
- Contact のFrame内にある「送信する」ボタンを選択します。
- Prototype タブを開きます。
- 接続ハンドルを Thanks のFrameへドラッグします。
- Triggerをクリック操作、Actionを Navigate to、Destinationを Thanks に設定します。
これで、フォーム画面から完了画面へ移動する操作が作れました。
ただし、この動作は画面遷移を再現しているだけです。
入力欄の値を実際に検証したり、メールを送信したりする処理は行われません。
この違いを理解しておくことは重要です。
Prototypeは操作体験を検証するためのものであり、
実際のWebアプリケーションの機能そのものではありません。
手順3:トップページへ戻る操作を作る
Thank に「トップページへ戻る」ボタンを配置している場合は、同じ方法で Home へ接続します。
これで、トップページから問い合わせ、送信完了、トップページへの復帰までを一通り操作できます。
プロトタイプを再生して検証する
接続が終わったら、実際に操作して確認します。
手順1:開始画面を設定する
Prototypeの再生を始める画面として、Home を設定します。
(選択した状態にしてください)
必要に応じて、Prototypeタブからフローの開始点を指定します。
Figmaの表示や操作方法によっては、Frameを選択して開始フローを設定する形になります。
手順2:プレビューを開く
画面右上の再生ボタンからプロトタイプを開きます。
トップページが表示されたら、実際の利用者になったつもりで操作します。
1. お問い合わせボタンを押す
2. フォーム画面が表示されることを確認する
3. 「送信する」ボタンを押す
4. 完了画面が表示されることを確認する
5. トップページへ戻る操作を確認する
この一連の操作が途切れずに進められるかを確認しましょう。
手順3:操作中に迷う場所を探す
再生できたからといって、体験設計が完成したとは限りません。
次の観点で見直します。
- お問い合わせボタンはすぐに見つかるか
- フォームに何を入力すればよいかわかるか
- 送信ボタンが見つけやすいか
- 送信後に完了したことが明確に伝わるか
- 次に取るべき行動が示されているか
ボタンを押せるかどうかだけでなく、操作する前に何をすればよいか理解できることも大切です。
ユーザー体験を改善する
プロトタイプを操作して問題が見つかったら、画面や接続を修正します。
次の操作がわからない
フォーム画面に到着したものの、入力項目の意味がわからない場合は、ラベルや補足説明を見直します。
ユーザーに必要な判断をすべて任せるのではなく、画面上で判断材料を提供しましょう。
操作した結果が伝わらない
送信ボタンを押しても、画面が変わらない、あるいは完了したかどうかわからない場合は、操作後のフィードバックを考えます。
今回の実習では完了画面へ遷移させていますが、実際のサービスでは、処理中の表示、エラーメッセージ、再送信の案内なども必要になることがあります。
画面のつながりが不自然
フォームから完了画面へ移動した後に、次の行動が示されていなければ、ユーザーはその後どうすればよいか迷うかもしれません。
トップページへ戻るリンクや、問い合わせ後の流れを説明する文章など、目的に応じた案内を用意します。
操作できる場所がわかりにくい
見た目がボタンに似ていても、Prototypeの接続が設定されていなければ、操作しても画面は変わりません。
プロトタイプを検証するときは、ユーザーが操作できると期待する場所と、実際に設定された操作範囲が一致しているかも確認しましょう。
Prototypeで確認できること・できないこと
Prototypeの役割を正しく理解するために、できることとできないことを区別します。
| 検証内容 | Prototypeでの対応 |
| 画面遷移 | 可能 |
| ボタンやメニューの操作 | 可能 |
| Overlayの表示・終了 | 可能 |
| 画面切り替えのアニメーション | 設定に応じて可能 |
| 実際のメール送信 | 通常の画面遷移だけでは不可 |
| サーバーへのデータ保存 | 通常の画面遷移だけでは不可 |
| 本番環境の入力検証 | 通常の画面遷移だけでは不可 |
Prototypeは、
操作の流れや画面の使いやすさを確認するための仕組みです。
実際のデータ処理まで検証したい場合は、別途、実装されたアプリケーションや適切なテスト環境が必要になります。
あとがき
今回は、トップページ、お問い合わせフォーム、送信完了画面を接続し、一連の操作を再現しました。
重要なのは、接続が正しく動くことに加えて、ユーザーが次の操作を理解できるか、操作結果が伝わるか、目的を達成できるかを確認することです。
画面単体の完成度だけで判断せず、ユーザーの行動を通して画面全体を評価する。
この視点を持つことで、UIデザインを実際の利用体験へとつなげられます。
画面を作っていると、配置や色、文字の大きさなど、目に見える部分に意識が向きます。
しかし、ユーザーにとっての使いやすさは、画面を操作したときに初めてわかることもあります。
お問い合わせボタンを押した先で迷わないか。
入力を終えた後に安心できるか。
目的を達成したことが明確に伝わるか。
こうした体験は、画面を眺めているだけでは十分に評価できません。
FigmaのPrototypeを使えば、実装を始める前に操作の流れを確認し、問題を見つけて修正できます。
作って終わりにせず、
実際に操作して検証する習慣を身につけましょう。
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