
Webサイトやアプリを作るとき、必要な情報が揃っていても、ユーザーがその情報を見つけられなければ、使いやすいサービス(サイト)にはなりません。
例えば、会社のWebサイトにサービス紹介、料金、制作実績、お問い合わせの情報がすべて掲載されていたとしても、
どこに何があるのかわからなければ、ユーザーは
目的の情報にたどり着けません。
反対に、情報が適切に分類され、ページの関係やナビゲーションが整理されていれば、
ユーザーは自分が
知りたい情報を見つけやすくなります。
このように、情報を分類し、関係性を整理し、ユーザーが理解しやすい構造を作ることを
Information Architecture(IA:情報設計)
と呼びます。
前回の学習では、目的・ユーザー・課題を整理し、何を作るべきかを考えました。
今回は、その結果をもとに、情報をどのような単位に分け、どのページに配置し、どうつなげるかを設計していきます。
会社のWebサイトを題材に、FigJamで情報を整理し、Figma Designで画面設計に進むための土台を作りましょう。
Information Architectureとは何か
Information Architectureは、情報を整理し、ユーザーが
理解・発見・利用しやすい構造を設計する考え方です。
Webサイトであれば、次のようなことを考えます。
どのような情報が必要なのか
情報をどのようなカテゴリに分類するのか
どの情報を同じページにまとめるのか
ページ同士をどのようにつなぐのか
ユーザーが目的の情報にどうやってたどり着くのか
多くの場合、会社のWebサイトには、
会社概要、サービス紹介、料金、制作実績、お知らせ、お問い合わせ
などの情報があります。
これらを無秩序に並べるのではなく、ユーザーが
理解しやすいまとまりに分類し、
適切なページ構成を考えます。
IAは見た目のデザインとは異なる
情報設計とビジュアルデザインは、関連していますが、役割が異なります。
| 項目 | 主な役割 |
| 情報設計(IA) | 情報の分類、ページ構成、情報同士の関係を決める |
| UIデザイン | 情報や操作要素を画面上に配置し、使いやすく表現する |
| ビジュアルデザイン | 色、文字、形、余白などを使って視覚的な印象を整える |
例えば、「料金をサービス紹介ページに掲載するか、独立した料金ページにするか」は
情報設計の判断です。
一方、「料金をどの色や文字サイズで表示するか」は、主に
UI・ビジュアルデザインの判断です。
先に情報設計を行うことで、見た目を作った後にページ構成を大きく変更するリスクを減らせます。
情報設計で考える4つの要素
情報設計では、主に次の4つを考えます。
① 情報の分類
情報を意味や目的に応じてグループに分けます。
会社のWebサイトであれば、次のように分類できます。
会社に関する情報:会社概要、代表者、所在地
サービスに関する情報:サービス紹介、料金、導入事例
最新情報:お知らせ、イベント情報
問い合わせに関する情報:お問い合わせ、資料請求
分類することで、情報の全体像がわかりやすくなります。
② ページ構成
分類した情報を、どのページに配置するか決めます。
シンプルな会社のWebサイトであれば、会社概要と所在地は同じページにまとめられるかもしれません。
一方、サービスの種類が多ければ、サービス一覧ページと個別のサービス詳細ページに分ける方法も考えられます。
情報量やユーザーの目的に合わせて、ページを分割するか、まとめるかを判断します。
③ 階層構造
ページ同士の
親子関係や階層を整理します。
例えば、次のような構造です。
トップページ
│
├ サービス
│ ├ Webサイト制作
│ └ システム開発
│
├ 制作実績
│
├ 会社概要
│
└ お問い合わせ
この構造では、「Webサイト制作」は「サービス」の下に位置しています。
ただし、すべてのページを階層構造だけで表現する必要はありません。
重要なページをトップページや共通ナビゲーションから直接開けるようにするなど、
ユーザーの利用目的に合わせた構成も必要です。
④ ナビゲーション
ユーザーがページ間を移動するための仕組みを設計します。
主要な仕組みは、
ヘッダーのメニュー
パンくずリスト
ページ内リンク
フッターのリンク
などです。
情報が適切に分類されていても、その分類やページ構造がユーザーに伝わらなければ、目的の情報を見つけにくくなります。
情報の構造と、それをユーザーに伝えるナビゲーションは、セットで考える必要があります。
実習:会社のWebサイトの情報を整理する
ここからは、架空の会社のWebサイトを題材に、情報設計を行います。
前回の学習で設定した目的は、「見込み顧客がサービス内容を理解し、問い合わせできるようにする」でした。
今回は、この目的を達成するために、どのような情報が必要かを整理します。
手順1:必要な情報を洗い出す
まず、FigJamを開き、付箋を使って必要な情報を書き出します。
例えば、次のような情報です。
- 会社の基本情報
- サービスの特徴
- サービスの詳細
- 料金
- 制作実績
- お客様の声
- よくある質問
- お問い合わせ方法
- 最新のお知らせ
この段階では、まだページへの割り当てを決めません。
まずは必要な情報を洗い出し、全体像を把握します。
手順2:似た情報をグループ化する
書き出した付箋を、内容やユーザーの目的に応じて分類します。
今回は、次のようにまとめてみました。
| グループ | 含める情報 |
| サービス | サービスの特徴、サービス詳細 |
| 料金・導入検討 | 料金、導入条件、よくある質問 |
| 信頼性 | 制作実績、お客様の声、会社情報 |
| 最新情報 | お知らせ |
| 問い合わせ | 問い合わせ方法、問い合わせフォーム |
この分類はあくまで一例です。
実際には、サービスの内容やユーザーが知りたい順序に合わせて分類します。
例えば、料金がサービスごとに大きく異なる場合は、料金をそれぞれのサービス詳細ページに掲載する方法もあります。
手順3:分類した情報をページに割り当てる
次に、情報をどのページに配置するか決めます。
今回は、次のようなページ構成が考えられます。
Webサイト
│
├ トップページ
│ ├ サービスの概要
│ ├ 主な特徴
│ └ 問い合わせへの導線
│
├ サービス紹介
│ ├ サービスの詳細
│ └ 提供内容
│
├ 料金
│ ├ 料金
│ ├ プラン
│ └ 導入条件
│
├ 制作実績
│ ├ 事例
│ └ お客様の声
│
├ 会社概要
│ ├ 会社情報
│ └ 所在地
│
├ お知らせ
│ └ 最新情報
│
└ お問い合わせ
└ 問い合わせフォーム
ここで重要なのは、情報の分類とページの分類は、必ずしも
1対1ではない ということです。
1つのページに複数の情報をまとめてもよいですし、情報量が多ければ複数のページに分けても構いません。
小規模な会社のサイトであれば、料金や制作実績をトップページにまとめ、独立したページを作らない構成も考えられます。
ページ数を増やすこと自体が目的にならないようにしましょう。
サイトマップを作る
必要なページが決まったら、サイトマップを作成します。
サイトマップは、Webサイトのページ構成や階層を視覚的に表現したものです。
今回は、FigJamで次のような構造を作ります。
この図は、ページの関係を簡略化したものです。
この段階では、細かなデザインは不要です。
ページ名と関係性が理解できることを優先します。
サイトマップを作ると、必要なページが不足していないか、似たページが重複していないかを確認できます。
ナビゲーションを設計する
サイトマップができたら、次に
ナビゲーションを考えます。
サイトマップはページの構造を表しますが、ナビゲーションは
ユーザーがそのページへ移動する方法を表します。
例えば、サイトマップ上では「料金」が「サービス紹介」の下にあるとしても、
実際のヘッダーメニューには「料金」を独立した項目として表示することもできます。
主なナビゲーションの種類
| 種類 | 役割 |
| グローバルナビゲーション | サイト全体の主要ページへ移動する |
| ローカルナビゲーション | 特定のセクション内のページを移動する |
| パンくずリスト | 現在のページがどの階層にあるかを示す |
| フッターナビゲーション | 会社情報や関連ページなどへのリンクを提供する |
| ページ内リンク | 同じページ内の特定の見出しなどへ移動する |
| ページネーション(ページャー) | リスト項目数が多い場合、数個に区切ってページ分割する。 |
すべてのサイトに、すべての種類が必要なわけではありません。
ページ数が少ないサイトなら、シンプルなヘッダーメニューだけで十分な場合もあります。
階層が深いサイトなら、
パンくずリストや
ローカルナビゲーションが役立つことがあります。
ナビゲーションを考えるときのポイント
ユーザーが何を探しに来るのかを考え、
よく使う情報にアクセスしやすくします。
例えば、サービスを検討している人にとって、料金や制作実績が重要であれば、これらの情報へ簡単に移動できるようにします。
また、メニュー名はユーザーが
理解しやすい言葉を選びます。
社内だけで通じる
専門用語や曖昧な名称は、ユーザーが内容を予測しにくくなる可能性があります。
ユーザーの行動から構造を確認する
情報設計は、ページをきれいに並べれば完成するわけではありません。
実際にユーザーがどのような順番で情報を探し、目的を達成するのかを考える必要があります。
例えば、サービス導入を検討しているユーザーなら、次のような行動が考えられます。
1. トップページでサービスを知る
2. サービス紹介で内容を理解する
3. 料金や導入条件を確認する
4. 制作実績や会社情報を確認する
5. お問い合わせをする
この流れをFigJam上で矢印でつなぐと、ユーザーの行動フローとして整理できます。
ここで確認したいのは、必要な情報が不足していないか、次の行動へ進むためのリンクがあるか、目的のページにたどり着きやすいか、という点です。
ただし、すべてのユーザーが同じ順番で閲覧するとは限りません。検索エンジンから料金ページへ直接アクセスする人もいます。
そのため、トップページから順番に移動する流れだけでなく、個々のページから必要な情報へ移動できるかも確認しましょう。
Figma Designで画面設計につなげる
情報設計ができたら、
Figma Designで画面を作る準備が整います。
トップページの設計では、情報設計で決めた内容をもとに、次のような要素を配置できます。
- サービスの概要
- 主なメリット
- 制作実績への導線
- 料金情報への導線
- お問い合わせへの導線
この段階で初めて、
情報をどの順番で配置するか、
どの要素を目立たせるか、
どのようなレイアウトにするか
を具体化していきます。
ただし、情報設計の結果は固定されたものではありません。
画面を作る中で、情報が多すぎる、分類がわかりにくい、ページを分ける必要がある、といった問題が見つかることもあります。
その場合は、サイトマップや分類に戻って修正します。
情報設計とUIデザインは、完全に切り離された工程ではなく、必要に応じて
行き来しながら完成度を高めていくものです。
あとがき
今回の重要なポイントは、
情報の分類
ページ構成
サイトマップ
ナビゲーション
ユーザー
の行動フローです。
これらを整理してから画面を作ることで、単に見た目が整っただけではなく、ユーザーが必要な情報を見つけやすいWebサイトを設計しやすくなります。
情報設計は、見た目の変化が少ないため、デザイン作業に比べると地味に感じるかもしれません。
しかし、どれだけ美しい画面を作っても、情報の分類がわかりにくかったり、必要なページへ移動できなかったりすれば、ユーザーにとって使いやすいサイトにはなりません。
ページ数を増やすことや、複雑な階層を作ることが情報設計の目的ではありません。
ユーザーが知りたい情報に、適切な方法でたどり着ける構造を作ることが目的です。
まずはFigJamで情報を洗い出し、分類し、関係性を可視化する。
そして、その構造をもとにFigma Designで画面へ落とし込む。
この流れを意識して、情報設計を実際の制作に活用してみましょう。
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