「最近の若い子は・・・」というおじさんエンジニアが、「昔は良かった」という話を飲みの席で話し始めるたびに、その飲みの席がとたんにつまらなくなる。
エンジニアが言う昔とは、MSXでBASICをプログラミングをしていた時の事を言う場合が多く、ベーマガやMAXマガジンを購読していたという話で最高潮の盛り上がりになる流れなのだが、最新技術についていけなくなったおじさんの悲哀にしか聞こえないため、この流れの話になった時は僕はすぐに流れを変えようとする。
でも、そんな一昔前のエンジニアと、今時の若いエンジニアに関して、特徴的な違いがあることに気が付いた。
それは、「他人と同じ事をするモチベーション」と「他人と違う事をするもチベーション」だ。
モチベーションというのは、エンジニアで言うところの「やりがい」であったり、「仕事を活性化させるための活力」なのですが、もちろん、人によってこのモチベーションのポイントが違うことは問題ないのですが、目的とするところが、あまりにも違っている点に注目してみました。
他人と同じ事をするモチベーション
エンジニアのモチベーションの最も大きい部分は、自分のスキルが伸びる事であると言い切ってもいいですが、プログラム言語も含め、様々な環境が増え、ライブラリやAPIなどの便利ツールが次々と出てくる時代になりました。
会社やコミュニティの技術力ポジショニングの上下関係において、それらのライブラリをいかに多く使っているかというポジショニングが発生することがあります。
そしてこういうポジショニング争いを行うのは若手の傾向が多く、他の人の使っているツールやライブラリを使う事を目的にして、それによる安心感を得る事をモチベーションにする傾向があるようです。
他人の真似をする事自体には問題はないのですが、自分のスキルアップの目的が、今現在のスタンダードを習得する事になり、いわゆる周囲の多くライブラリを使っている人と同じになる事に執着するようになっている人が増えている印象があります。
他人と違う事をするもチベーション
人と違う事をする事に対して、苦手な人もいますが、他人と違う事に自我を見出す人もいます。
人と違う事を行う事で自分の個性を見出せると考えるタイプで、人と同じ事をするタイプと大きく違う点として、いきすぎたモチベーションは「変人」扱いされやすいという場合があります。
他人がやっていることと同じ事をやるよりも、自分しかできない技術を持った方が良いという思考は少なからずエンジニアは持っていると思いますが、他人と違う事をやらないといけないという危機感を持っているエンジニアもこれまでたくさん出会ってきました。
こうした他人と違う事をしたがる人は、いわゆる発明家タイプであり、この思想はエンジニアに関しては必要な要素なのですが、他人から求められない事に執着してしまうとどうやら達成感が感じにくいようですね。
成長の過程を考える
この2つのモチベーションタイプは果たして相反するモノなのかというとそうではなくて、どちらも成長過程におけるモチベーションである事がわかります。
1. 真似る
2. 工夫する
3. 教える
人が成長する時に、まず行うことは先人の真似をする事で、コツを掴むという段階が必要です。
いわゆる先生の教わった事をやるという行為や、師匠の背中を真似て、見よう見まねで技術を習得していく段階です。
この段階は、他人と同じ事をするモチベーションがある状態です。
次に、習得した技術を自分なりに創意工夫して独自の技術を追求していく段階があり、技術追求する上で、他人と違う点をひたすら研究する事で、自分のユニーク性を見出そうとします。
この段階は、他人と違う事をするモチベーションになります。
最後の段階は、自分の習得した事を後輩や部下や弟子に対して教えていくという行為が必要になり、これにより自分が教えた人がその先に自分を超えていく事で世の中の技術が向上していくという流れになります。
同時に、人のモチベーションもこうした流れで常に高く保っていく事が可能になるという理想な流れです。
これを見ると、人と同じ事を目的にする段階と、人と違う事を目的にすることは、それぞれのステップの途中段階である事がわかるため、若い人に多い傾向や、年配者に多い思考というのも頷けます。
一律に、「同じ事をするのが良い」とか「違う事をするのが良い」と決めつけている組織があるとしたら、成長段階を見るという視点が抜けている可能性が高いですね。
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