とある社長のCTO不信についての相談

2019年7月9日

日記

ITを使ったマッチングサービスを計画しているとある企業の社長さんから相談を受けた話です。 詳細は書けませんが、電話を受けて、開口一番に、今一緒に開発を行ってくれているエンジニアの不満話でした。 もともと、その社長はIT技術に強いわけではないが、人一倍サービス構築に関する想いが強く、成功した先の夢をよく語っていたのを思い出します。 そんな彼が、信頼を置いていたエンジニアで、自社のCTOにしているいわゆる右腕エンジニアをボロカスに言っているのを聞いて、ただ事ではない事は理解できました。

IT技術者の信頼性

ITを使わない企業はもはや無いのではないかと考えてもいいほど、昨今のIT事情はビジネス、個人の生活に入り込んでいます。 企業も優秀なIT技術者を組織に囲い込むかがポイントになっているジャンルもあり、転職市場もかなりインフレーションを起こしている話を、人材業界に努めている友人からよく聞きます。 そして同時に、経営者から、社内エンジニアが優秀ではないという話もチラホラ聞くことがあり、自社の技術力に不満を抱いている方も意外と少なくないようです。 もともとコミュニケーションが二の次になっているITエンジニアは、人から信頼を得る付き合いをするのが下手な人も多い上、経営自体に興味がなく、仕事としてプログラミングをやっているだけのエンジニアも僕の知人でたくさんいます。 要するに、会社の方向性とエンジニアの思考性が同じ方向を向いていない時に、会社はエンジニアに対して不満を抱くようになります。 その会社で方向性の違う従業員は、どうしても「使えない」というレッテルを貼られてしまい、自分でそれが払拭できないエンジニアは、今どき主流の「転職」という手段をとるケースが多いようです。

とある企業からの相談

僕の知り合いの会社経営者で社長をしている人からよく相談電話を携帯にもらいますが、その日も何やら困った感じで相談をしてきました。 始めはITサービスについてのアイデア壁打ちをしていたのですが、「実はそのプロジェクトが3ヶ月経つのに全く進行していなくてもどかしい」という本音を話し始めました。 その会社は、社長と営業協力をしてくれている人と、エンジニアの3名で構成されており、ベンチャー企業としても非常に小ぶりな人員構成なのですが、1人しか以内技術者をCTOに据えてこれまで社長が言ったことをサービス構築してきていたという事なのですが、 その社長が言うには、これまでもこのCTOの開発スピードが極めて遅いため、満足なサービス構築から、ロンチ、運用に至っていないという愚痴でした。 そして、3ヶ月前に別の企業との話し合いで立ち上がったプロジェクトが未だにモックアップも作られていない現状に業を煮やしたようである。

CTOの役割

以前から同様の相談は何度も受けていたのですが、何故そんなに信頼のできないエンジニアをCTOで置いているのかと聞くと、「他にエンジニアを知らない」というのが一番大きな原因であることも理解しています。 要するにCTOとしての素質が無いのに、与えているポストがキャパオーバーなのです。 それを断らないCTO本人も自分の環境がわかっているのかわかりませんが、僕も少し話した感じだと、単なるフロントエンジニアという印象でした。 そもそも、組織構築を急いでしまった経営者にも責任があると考えられますが、会社の方向性と大きく食い違っているCTOはもはや組織の邪魔者でしかなくなってしまいます。 CTOという役職は単なる肩書きですが、「chief technology officer」は最高技術責任者と直訳できることを考えると、技術だけに責任を負えばいいかというと、日本国内のCTOの役割は「経営」よりになっているケースが多いようです。 「クオリティの高い製品を開発する」という目的よりは「販売につながる商品開発」を求められることのほうが多く、こうしたギャップは企業内で少なからず経営者との意見相違に発展しているケースも多いようです。

個人的見解

かつて上場企業のCTOを経験した事のある僕としては、会社の経営に対して意見を持たないCTOは単なる開発部門の責任者でしかないので、CTOという肩書きには程遠いと考えていたので、営業、販売から、バックオフィスまで全ての知識も業務内容も把握する必要があり、 社内における技術課題や効率化などを提案、実行する役割もCTOが担うべきだと考えていました。 こうした話をすると、「そこまでやっていると、本来の製品クオリティを担保できない」という意見を言う他社CTOの方もいましたが、部門的な責任者なのか、組織全体の責任者かという何の責任を持ったchief officerかを考えるとその組織にとって、何をすべきかは明確だと考えられます。 別に組織で製品クオリティのみに集中していいというCTOであれば、それでもいいし、会社全体のIT化も含めた技術を牽引するのであれば、経営まで知らなければいけません。 重要なのは、こうしたCTOとは何をすべきかを組織内で事前に話ができているかどうかという点であるということも、こうした話の時によく思い浮かぶ点です。 「社長はこうあるべき」「CTOの仕事はこうあるべき」など自分の意見がさも世間の一般概念のような決めつけの意見を平気で言う経営者がいたとしたら、その会社はおそらくうまく言っていない傾向があるでしょう。 人と人とのコミュニケーションが潤滑に行えて初めて会社って機能するという事が、今回の相談からもよく理解できました。 人からの相談って得てして答えが見えているものが多いのですが、多くの人は愚痴りたいんですね。 なので、僕も今回は電話ではなく、直接その社長に会って話を聞いてあげました。 話し終わった時に、スッキリした顔をしていたのが印象的でしたね。

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